四人の幼馴染み

『ん?…有紗泣いてる?』






『…泣いてない。』






『誰泣かしたの。』






お前だよ。
多分陽葵も雫も同じこと思ってるんじゃないかってくらいの鈍感さだった。






『てかお前、今日はなしっつったろ。』






『3人で密会しようってったってそうは行かないからな。』





『何言ってんだよ。…はぁ。ほんとお前ってやつは。』




『いいよ陽葵。葵は昔からこんなやつだから。』





『なに。みんな俺の話題してたの?』





私は顔を伏せて、涙あとを消す。





『何話してたの?』





『なんでもいいだろ。』





『昔から俺と有紗の間に隠し事なんて何一つなかったんだよ。教えろよ。』





『…お前こそガチで何言ってんの?』





『…陽葵?』





陽葵の声のトーンが変わったことは、
誰にでもわかった。
もちろん、鈍い葵にでも。






『あの、陽葵、』





『…お前さぁ、本気で隠し事ないって言うのは、俺みたいなことを言うんだよ。雫を好きって包み隠さず言うこと。』





『陽葵何がいいたいの?』





『有紗が、小さい頃からお前に隠し事一つもないって思ってんなら、大間違いだからな。俺は、有紗の味方だから。』






陽葵…?
なんか今日葵に冷たいような。





『黙って聞いてりゃなんなんだよ、陽葵。』



『ちょ、葵?』





『俺と有紗何年の付き合いになると思ってんの?陽葵よりなげぇんだよ。わかったような口聞くな。』





『葵言い過ぎ、』





『てめぇこそ、何一つ有紗のことわかってやれてねぇんじゃねぇの?ちょっとは頭冷やせや。』






陽葵と葵の大ゲンカは
小学校ぶりで、
しかもその原因が私だなんて。


複雑すぎる…。