四人の幼馴染み

『なー、有紗。』






『んー?』






『お前、葵のこと好きだろ?』






『な、何言ってんの?』






これは、なぜか滅多に二人きりにならない陽葵が、私の家に一人で遊びに来た時の話。






陽葵に急にそんなこと言われたから、
私は持ってたグラスを落としそうになった。






『だーかーら、葵のこと好きだろ?』






『好きなわけ、ないじゃん。』






『だってさー、どう見ても葵も有紗のこと好きだけどなー。』





『それはないよ。』





『なに、即答?』





『葵、中学の時すぐ彼女作ったもん。好きならそんなことしない。』







私は、涙目になりながら言ったんだと思う。






『ごめんって。そんなに泣くなよ。』





『泣いてない…。』





『だけどさ、そんなに泣くくらい好きなら、告白しねーの?』




『…私の気持ち、伝える気ないの。』






『なんで?』






『……葵は、困ったように笑うの。それで、いいよって言うの。だけど、そんないいよはいらないから。』






葵は、優しいから。
辛くなるくらい優しいから。


断りはしないの分かってるから。






『ごめん、そんな思ってること知らんくて葵と雫呼んじゃったわ。』





『いいよ。私は葵の前では、幼馴染みの有紗を演じるから。』







そうするって、中学の時決めたの。