授業はまだ終わっていません                ~青春は理科室にて~

日が落ちた理科室に、先生は一歩足を踏み出した。



「日が落ちる前なのに聞こえてるんだな。
2人だけの空間かと思ってたのに…」



どこか皮肉にも聞こえる先輩の声は、後半がほぼ呟くような小さな声で、近くにいても何と言ったのか聞き取れなかった。


だけど、今の私には桃先輩が何て言ったかなんて気にならなかった。
それどころではないのだ。



「日が完全に落ちないと身体は動きませんが、黄昏時から視力と聴覚は動いているんですよ。
だから、あなた方の話しは全部聞こえていましたよ。」



「いや、これはですね!」



と、私は慌てて事の成り行きを先生に全て説明した。



「なるほど、部活ですか…」



先生は顎に手を当てて考える仕草をした。



「それは良い考えですね。」



「ですよね!」




先生に褒められて嬉しいなんて久しぶりだ。




「ですが、だからと言って人の物を無断で見て良いことにはなりません。」



「す、すみません…」



私はシュンとなって肩を落とす。