授業はまだ終わっていません                ~青春は理科室にて~

いやいや、それよりも今の気まずい状況をどうにかしないと…


「すみません、よそ見をしていて…」



屈んで先生が落とした荷物を拾う手伝いをしながら、頭はフル回転で適切な次の言葉を探す。




「こちらこそごめんなさい。私も不注意だったわ。」


「?」




先生はこちらには視線を向けずに、もくもくと落ちた物を拾っていて、何だか違和感を感じた。


亘理先生は担当の教科の先生じゃないし、仲の良い先生でもないから会うのは廊下ですれ違う程度だし、話す機会なんてもっと少なくて挨拶程度。


だから、いつもならそんなこと感じないんだけど、昼間にあったばかりのせいか、随分印象が違うような気がする…



「植田さん、ありがとう。」


「いえ…」



拾った筆箱と手帳を渡した亘理先生の右手にはハンカチが握りしめられていて…

チラッと見ただけでも目が赤く腫れているのが分かった。



私は見たことを悟られないよう、直ぐに散乱したペットボトルを拾いにかかると、上から声が降ってきた。