次の日、私は学校が終わると直ぐに家に帰り、準備していた大きな袋を手に町で一番大きな病院に向かった。

その病院に数日前から母が入院しているからだ。



うちは代々続く和菓子屋をやっていて、父と母の二人で切り盛りしている。

結構遠い所からもお客さんが買いにきてくれるくらいには有名で、ここのところ大口注文が続いていていつも以上に忙しかったのだけど…



元々、体が丈夫じゃない母は疲労のあまり厨房で倒れてしまった。

しかも運悪く倒れ方が悪くて右足を骨折してしまったのだ。

直ぐに救急車を呼んで、そのまま入院…

そして今に至る。





大きなケガだけど、責めてもの救いは狭い厨房で棚の角とか変なところに頭を打たなかったことだ。


だから、ベッドからはなかなか動けないが、足以外は元気そうでほっとしている。






私は病院の駐輪場に自転車を停め正面玄関に足を向けた。

正面玄関は、まだ外来診療時間内ということもあって、行き来している人は少なくなかった。


そして、その人々の中に見知った顔を見つけ、思い切り顔をしかめたくなった。