「それで、どうやったんですか?」




冷たい視線を送っても、桃先輩は飄々として「まぁ、そう簡単に信じるはずないよな~」なんてその設定を変えるつもりはないらしい。




「どうせろくでもないことしたのは分かってるんで、本当のこと言わなくていいです。」




もう付き合ってられないと、押していた自転車に乗り先輩をおいて漕ぎ出した。




後ろから、桃先輩の声が聞こえるけど止まることも、振り返ることもなく漕ぎ続ける。
どうせ、直ぐに追い付いてくるのは分かっているから。


でも桃先輩は中々私に追い付いてこなかった。


それは、単に私がまた明日先生に会えることが嬉しくて、漕ぐペダルにも力が入りいつもより早いペースで走っていたからなんだけど。


追い付いた先輩に指摘されるまで、それに気付くことはなかった。