授業はまだ終わっていません                ~青春は理科室にて~

「どいて下さい。"モ・モ・ウ・チ・先輩"。」



「なんか泉最近冷たいよね~それで何話してたの?」



「男って何なのかって話です!」





嫌みを込めて言ったのに…





先輩は私の耳に口を近づけて、

「ふ~ん、なら男が何なのか、手取り足取り教えて上げようか?」

なんて囁くもんだから今度は目の前の智子達が黄色い声を上げた。





ホント、ここで止めさせないと私マジ締められる…



言わずもがな、隠れファンクラブがある程なんだから、桃先輩にはファンが多い。
私がこんなにベタベタされても無事だったのは従兄と言うのが浸透していたからで、それがなかったらきっと学校に来れなくなっていたと思う…




実際のところ、既に苦情は来ていた。




「トーヤ先輩のこと、お兄ちゃんって呼ばないでくれますか?」



それは一緒に帰るために、桃先輩の部活が終わるのを一人教室で待っていた時のこと…



桃先輩のファンだと名乗る女子3人が現れて、唐突に言ってきたののだ。




最初は、はっ?って思った。


お兄ちゃんをお兄ちゃんと呼んで何が悪いのだろうか?


話をお聞きすると、どうもマニアックな方がいらっしゃるようで…




ファンの方に私もお兄ちゃんと呼びたいだの、一人だけ特別な呼び方をされるのは恋人みたいで気に入らないだのという声が上がったらしい。


その時は、桃先輩に対しての呼び方にそれ程拘りはなかったから、すんなりその申し出を受け入れたのだけれど…


今思うと、受け入れてなかったらどうなっていたのか…


徐々に桃先輩の人気が分かってきただけに、想像しただけで怖い…


それに、私だけならまだしも周りにまで迷惑がかかる可能性が捨てきれないから余計怖い…


だから学校では少し距離を置くようにしている。




「先輩…今から文室に行くので、離れて下さい。」



「気が合うな、俺も行くところだったんだ。」