授業はまだ終わっていません                ~青春は理科室にて~

「皆ありがとねー!」




私はホームルームを締めると反対してくれた皆のところに飛び込んだ。




同時に涙腺が崩壊したのは言うまでもない。





「全く!男子って何なの!」





それからは智子達が変わりに怒ってくれた。
ただそれだけで私は良かった。
ただ、うん、うんと聞くだけで私が不満を吐き出さなくても満足だった。

それは、クラスの中で特に仲の良いこの5人が反対してくれたから。

皆本当にありがとう!








「そうだよね~分かる~」





不意に後ろから聞き覚えのある明らかに男子の声がしたかと思うと、大きいモノが覆い被さってきた。




「お、重いんですけど…桃先輩…」




教室のあちらこちらから女の子の黄色い悲鳴が上がった。




それは勿論、私に覆い被さっているこの桃内恭也(モモウチキョウヤ)が原因だ。



顔面偏差値がずば抜けて良く、剣道部で鍛上げられた体は180㎝近くある。
いつも学ランのボタンは閉めず、そこからは指定のシャツではなく赤いTシャツが顔を覗かせていた。

よく指導される茶髪は左側だけ耳にかけて、いくつものヘアピンで止められている。
いつもならピアスもしているのだが、着けてないところをみると生徒指導の先生にでも没収されたのだろう。

ここまで説明した見た目からだと結構な不良かと思うかもしれないが、性格は温厚でムードメーカー、しかも文系の選抜クラスときているからモテないわけがない。
おまけに隠れたファンクラブまであるという…




「桃先輩じゃないだろ~お兄ちゃんだろ~」




お兄ちゃんと呼んでた時もあった…
と言うか、高校に入って暫くは呼んでいた。




この桃先輩は、正確に言えば、私の父の妹の息子。
つまり従兄に当たる。




この顔面偏差値ずば抜け男子と少しでも血が繋がっているはずなのに、その遺伝子はこれまた私には受け継がれなかったようだ。