授業はまだ終わっていません                ~青春は理科室にて~

「それは…」




「それは?」




私は固唾を飲んで次の言葉を待った。




「分かりません。」




「はい?」




大層凄い理由があるのだろうと思っていたのだが…
発せられた言葉は余りにも拍子抜けするものだった。





「分からないんです。」





やらなければならないことが分からない?
やりたいことを探すことがやりたいこととか?
自分探し的な?





「私には記憶がありません。」





「記憶が?」




そりゃあ記憶する脳がないんじゃしかたないよね。
あっ、でも、考えることが出来るってことは脳があるってこと?
見えてないだけとか?




と、一瞬のうちに頭の中でそんな考えが行き来する。






結果、





生きている人間じゃないので分かるはずもない。
お化けはなんでもありなんだろう。




と、結論付け先生の話に耳を傾けた。





「言葉や物の使い方といった記憶はあって生活に支障はないのですが、過去の出来事が思い出せないんです。
分かっているのは、先生であったこと。やらなければならないことがあること。その2つです。」




記憶がない…




それってどんな感じなんだろう?
心細い?不安?
どちらにしろ良いもんじゃないのは分かるよ。




「先生はいつからここにいるんですか?」





「一年くらい前でしょうか?気付いたらここにいました。」




「私以外に先生を知ってる人はいるんですか?」