『千晶ちゃんも、数分の遅刻位
大目にみてよね、全く!』
と言った柚木の背後に黒い影
「毎日遅刻しといて、何言ってんだ?」
『…ひっ!… 』
がっちり肩を捕まれ、一気に真っ青の柚木
三人娘たちは突然の千晶に喜んでいた。
「やだ〜、千晶ちゃん!お昼に来るなんてめずらしぃー!」
「ちょっと時間が空いたんだよ。
で、一体キミは何について話していたのかなぁ??」
柚木の髪をぐりぐりかきまわす千晶と、
実に拒絶している柚木を
ニヤニヤ見ている三人娘。
夕士は哀れ…と慰めの目線を送っていた。
『や、やだなぁ千晶ちゃ…じゃなくて千晶先生っ!
先生はいつも優しくてかっこいいって
話ですよぅ!!』
青い顔して冷や汗流しながらの
渾身の嘘である。
「とはいえ、柚木の場合仕方ないってのもあるわよねぇ」
田代が、唐揚げとご飯を口に突っ込みながら
柚木を見た
桜「そうだねぇ。まだなおってないの??」
千晶を含め、目線が柚木に集まる
柚木は気まずそうにうん、とだけ頷いた
柚木は、不眠症を患っていた。
眠くはなるのだが、眠れない。
深い眠りにつけない。
『まぁ、全く眠れないわけじゃないから!』
と、気さくに笑った柚木を
夕士と千晶だけは
どこか悲しげな目で見ていた。