「結城……くん……」 寝言で、大原が俺の名前を呼んだ。 男怖いのに、俺のこと待ってくれたんだよな……。 遅くなって いつも泣かせて。 「ごめんな……」 俺は、大原の頰に手を伸ばし、そっと涙を拭う。 あの日───図書室で大原の手に触れた時 大原の手は震えてた。 それはやっぱり、まだ俺のことを怖がってるってわけで。 なぁ、大原。 好きだ そう言ったら、あんたはまた、俺のせいで泣くのかよ。 * * ・ * ・ * *