ぼーっと立ち尽くして、遠ざかって行く結城くんの背中を見つめていると、
「未央ー!」
後方から明るい声が、聞こえてきた。
振り返ると、その声の主は、そう樹紗ちゃんで。
私の元へと駆けてきた樹紗ちゃんは、肩を揺らしている。
きっと、体育館から走ってきてくれたんですね。
樹紗ちゃんらしくて、思わず頰がほころんじゃいます。
「待たせてごめんな」
「いいえ、全然大丈夫です!」
首を振って笑顔を向けると、樹紗ちゃんの顔にも笑顔が浮かんだ。
「良かったー。
ってか、さっき歩いて行ったの結城?」
「そうですよ?」
すると、「へー」なんて言いながら、隣で樹紗ちゃんが腕を組む。


