「あ、わりぃ、近すぎた」




そう声が聞こえて、身体が離れた。




スン…と鼻の奥から消える甘い香り。




「だ、大丈夫、です……」




まだ、心臓は騒がしいですけど……。




と、その時。


キーンコーンカーンと、うるさいほどの機械音が静寂を引き裂いた。




「もうこんな時間…」




気づけば、5時を回っていて。




「まじだ」




「か、帰りましょうっ…」




私達はそれぞれ荷物を持つと資料室を出た。