「何してるって、未央を合コンに誘ってんのよ」
華恵ちゃんが樹紗ちゃんにそう返す。
すると、樹紗ちゃんが私の方をちらりと見た。
樹紗ちゃんは、私の〝事情〟を知ってるたった一人の友達。
樹紗ちゃん、助けてください…!
そうテレパシーを飛ばすように、潤んだ瞳を向けると、樹紗ちゃんはニッと微笑んだ。
まるで、任せとけとでも言う風に。
「なるほどねー、合コンかー。
……あっ、窓の外にUFO!」
「えっ」と華恵ちゃんが、樹紗ちゃんの指さす方を振り向いた。
連携プレーでできたその隙に私はスクールバックを持って、全速力でダッシュ。
「あっ、待て未央ー!」
後ろからそう叫ぶ華恵ちゃんの声が聞こえたけど、足を止めることはできない。
ごめんなさい、華恵ちゃん……!
階段を駆け下りる足はそのままに、心の中で華恵ちゃんに全力謝罪。
何度も誘ってくれる華恵ちゃんには申し訳ないけど、こればっかりは私もどうしようもないんです…!


