「このマフラー使えよ。

身体、冷えるから」




「でもっ……」




「体調、また悪化されたら困る」




次の瞬間にはもう、

否応無しに、首に温かいマフラーが巻かれていた。




甘い、結城くんの香りが鼻に突く。




寒いのは……結城くんの方なのに。




鼻、赤いです。


だって、こんなにも寒空の下、ずっとずっと待っててくれたんですよね……?




私も、結城くんが風邪なんて引いたら嫌……。




私は震える唇で、か細い声を紡ぐ。




「……結城くん、手、繋ぎませんか……?」