「…でもま、そーゆーところが、大原のいいとこだよな。

とりあえず、無事で良かった」




そっと顔を上げると、結城くんが目を細めて微笑んでいて。




「結城くん……」




結城くんのぶっきらぼうな優しさに、心臓がいちいち反応してしまうのはなんででしょうか……。




「じゃ、あんたは大人しくここで寝てろ。

俺はまた走ってくるから」




そう言うと、保健室のドアの方へとスタスタ歩いていく結城くん。




あ……、そういえば、まだマラソン大会の途中だった!




じゃあ結城くん、私のために中断しちゃったってことですよね……。




「ごっ、ごめんなさい、結城くん。

私のせいでマラソン……」




しぼんでしまいそうな声でそう呟くと、結城くんはこっちに振り向き、目を細めた。




「ばぁーか、なめんな。

俺、足には自信あんだよ」




「え?」