額を抑えながら顔を上げると、そこにはしかめっ面の結城くん。




「何ムチャしてんだよ、バカ」




ば、バカ言われた…!




「む、ムチャなんて、してない、です……」




「嘘つくな。

こっちは、始まる前から調子悪いの気づいてたっつーの」




「え……」




じゃあ、結城くんこっちを見てくれたの……?




しかも、ここまでおぶってきてくれた……?




ポカンと口を開けたままの私に、結城くんは額を手で抑え、また溜め息をついた。




「ったく、心配掛けんなよ。

どうせ、友達に心配させたくないからとかいって、走ったんだろ」




ジロリと、追い詰めるような視線をこっちに向ける結城くん。




う……。


ず、図星すぎて何も言い返せない……。




「そ、その通りです……。

ごめんなさい……」




観念してガクリと項垂れていると、ポンと何かが頭の上に置かれ、

それが結城くんの手だと分かるのには、時間はかからなかった。