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「何よ、いきなり呼び出して」
美彩紀さんが、だるそうな瞳をこちらに向けた。
なぜなら、放課後、空き教室に美彩紀さんを呼び出したから。
「私、あなたと違って忙しいんだけど」
「でも、言わなきゃいけないことがあるんです」
無意識のうちに手が震えてしまうほど怖いけど、でも、言わなきゃ。
本当の気持ち。
真紘くんに貰った勇気。
樹紗ちゃんに貰った勇気。
春樹くんに貰った勇気。
私には、みんなが勇気をくれたから、怖くない。
「私、真紘くんが好きです。
だから、美彩紀さんには譲れません」


