───たったそれだけ。
もしかしたら、今まで受け取ってきた手紙の中で一番短かったかもしれません。
だけど、こんなに胸がいっぱいになる手紙は初めてで。
真紘くん……っ。
「……やっぱり……
離れたくないです……っ」
気づけば、足が動いて、家を飛び出していた。
走っていると、真紘くんとの思い出が、走馬灯のように頭の中を駆け巡って。
『また、あん時みたいに笑顔見せてよ、大原』
『心配性になったの、あんたと出会ってから』
『好きだよ、大原。
だから、俺の彼女になって』
『そんな顔すんな。
可愛くて困る』
『未央は優しいから辛いんだよな。
全部吐き出していいから』
こんな弱虫でも泣き虫でも
いつだって真紘くんは見ていてくれた。
『ずっと隣にいろよ。
俺の一番そばに』
そう言われたのに。
そんな大切な君を、自分から手離すなんて、やっぱりできません……。
どんなに不釣り合いでも、好きだから。
もう、逃げません……っ。
* * ・ * ・ * *


