それは、お家まで送ってもらい、真紘くんと別れ、家に入ろうとした時だった。
「ねぇ、あなた」
突然背後で声がして振り向くと、そこには女の子が立っていた。
あ……この子……。
話したことはないけど、知ってる。
綺麗に巻かれた髪、大きな瞳、そして誰もがうらやむ美貌。
この人……高校で一番可愛いって噂の子だ……。
なんで、こんな人が私に……?
すると、彼女は私の心を見透かしたようにふっと笑った。
「私、木崎 美彩紀(きざき みさき)。
あなたが結城くんの彼女?」
「は、はい……」
「唐突なんだけど……
彼、私にくれない?」


