すると、結城くんの声が降ってきて。
「俺に顔見せてよ」
「……っ」
甘い声に、恐る恐る顔を上げると、そこにはふっと笑う結城くんがいた。
「りんごみてぇじゃん、未央」
頭も胸もいっぱいいっぱいだけど、でも心臓がドキンと跳ねた。
「い、今、未央って……」
今だけじゃない、さっきも呼んでくれた
未央って私の名前……。
「ん、未央」
「……っ」
なんででしょう。
結城くんが私の名前を呼んでくれる、それだけで私の名前が大切に思えてしまうのは……。
「嬉しいです……。
ふふ、なんだか照れちゃいます」
緩む頰に手を当てていると、結城くんがいたずらっ子みたいな笑みを浮かべた。
「じゃあさ、未央も俺の名前も呼んで」
「へっ?」
「ほら」
「そそそそそんなの、無理ですっ……」
言ったら爆発しちゃいそうなんです。
今でもこんなにドキドキしてるのに。
っていうか、名前呼ぶだけでこんなに緊張するなんて初めて……。


