それから少し歩いた頃 「家、ここなの」 妊婦さんが2階建の家の前で立ち止まり、その家を指差してそう言った。 「ここまでで大丈夫よ。 本当にありがとう、助かったわ」 こちらに向けられた妊婦さんの笑顔に、胸がほっこりする。 「いえ! お役にたてて良かったです。 お身体、大事になさってくださいね!」 荷物を妊婦さんに手渡し、私は学校へと向かう。 腕時計をちらりと見ると、授業開始までにはまだ余裕があって。 学校も間に合いそうですね…! と、その時。 腕時計の上に、ぽつりと水滴が落ちた。