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「お世話かけてごめんなさいね」
「全然大丈夫ですよっ!」
荷物を持った両手を軽く上げて、妊婦さんに笑顔を向ける。
登校していたら荷物をたくさん持った妊婦さんに遭遇し、その荷物を妊婦さんのお家まで運んでいる途中。
「学校とか、大丈夫なの?」
「はい!
元から授業開始1時間前には着くようにしてるので、余裕です!」
学校に早く行くようにしてて、良かったです。
たくさんの荷物を持った妊婦さんのこと、見捨ててはいられませんから。
いつもなら学校にいる時間だから、樹紗ちゃんは心配してるかもしれないけど……。
でも、携帯の充電が切れてて、連絡できないんですよね……。
樹紗ちゃん、私は大丈夫ですからね…!
遠くにいる樹紗ちゃんに届きますように!と祈りながら、心の中でそう声を上げる。


