「結城……くん……っ」
気づけば、ポロポロと目から涙が流れていた。
こんなことをするのが、結城くんだって信じたくなくて。
冷たい言葉を放つのが、結城くんだって信じたくなくて。
結城くんに恐怖心を抱いてる自分を信じたくなくて。
でも、やっぱり怖くて、震えが止まらないんです……。
「人を殴るなんて……最低です……っ」
その場にいられなくて、私はそう声を上げ、走り出していた。
「未央…!」
そう呼ぶ樹紗ちゃんの声が聞こえたけど
ごめんなさい
今は走ることしかできないんです。
すべてから逃げたくて───。


