運命のブレスレット

ドアを勢い良く閉めてスクバで顔を隠しながら、人混みをかき分けて中に入る。



「おい、アイツさ噂の1年だよな?」


「あ、俺も知ってる。大谷って奴だろ?下の名前なんだったっけな?」


「何、あの子。今車から出てきたよね?何者?」


「あの車、超高級車じゃない?ものすごいお金持ちだね。」


人だかりをかき分けていくうちに耳に入ってくるいろんな会話。


ていうか、スクバで顔隠してるのになんで私って分かってるの?


まぁ時折、顔覗き込んでくる人とかいるからその人達が言ったんだろうけど…。


でも普通そこまでしてまで人の顔見たいと思う?


正直気持ち悪い…。


やっと靴箱に辿り着き、上履きに履き替える。


「大谷さん、好きです!付き合ってください!」


え?



思わず動きを止めてしまった。


周りも合わせてシーンとなる。


大谷って、私なわけないよね?


誰か別の大谷さんって人が告られてるんだよ、きっと。


私がちょっと自意識過剰過ぎた…。


自分でも恥ずかしい…。



「聴いてますか?1年C組大谷萌南さん、好きです。付き合って下さい。」



「ほわ⁉︎」



その瞬間、再び周りが気の狂ったように騒がしくなった。


い、今のは確かに私に向けられた言葉…


っだ、誰?


キョロキョロと辺りを見回す私に好奇の目が向けられる。