「お待たせー!」
「自転車、持つよ?」
「え?あ、ありがとう。」
優しいな、かずくんは。
またドキドキしちゃったじゃん。
2人で校門を出て歩き出す。
暫くしてかずくんが口を開いた。
「萌南ちゃんってさ…。」
「うん⁉︎」
「入学してから毎日自転車で学校通ってるの?」
「そう、だよ?」
「…やっぱりそうか。」
「え、、、?」
やっぱりってどゆこと?
「いや、今朝たまたま大谷さんの家から制服着た子が自転車乗っていく後ろ姿が見えて…。多分萌南ちゃんだろうなと思ってたんだけど。」
「あ、見えてたんだ?」
「そう。俺の家の窓から大谷さんのとこ丸見えなんだよ。で、俺もその後すぐに家出たから、萌南ちゃんの家の前通るわけ。」
え、?
「…あ、あぁ、かずくん裏門から出てるの?」
必死でかずくんの家の構造を思い出して言った。
「うん。」
「へえ、そうなんだ。私てっきりかずくんは正門から出てると思ってたからびっくりした。」
「まぁそれで萌南ちゃんの家の前まで行った時に、萌南ちゃんの家の執事さん…名前なんだっけ?」
「橘さん。」
「そう、橘さんに会ったんだよ。」
「うん。」

