運命のブレスレット

次の日から、私とお母さんは稽古のために一番家から近い別荘に移った。

お母さんは私のために夏休み中は仕事を入れなかったらしい。


ここでは朝から晩までずっと練習。

今日から心を入れ替えて頑張るために、携帯は電源を落として家に置いてきた。


「萌南!それは違うって言ってるでしょ!」


「ごめんなさい」


「じゃあもう一回、今の所から」


礼儀作法では、食事のマナー、挨拶、服の着こなしかたなどを徹底的に叩き込まれる。

少しでも間違えると、やり直し。


特に食事のマナーなどはやり直しが続くと永遠に食べ終われないし、太るので死ぬ気で体に叩き込んだ。


言葉遣いの面では本当にしんどい。


お母さんをいろんな立場の人に見立てて練習をするんだ、けど…


パシンッ


「なんて失礼な言い方するの!今あなたが相手にしてるのは、あのNYTの社長よ?分かってるの?」


「はい。」


「もう一回!始めからやり直し!」