でもそれってさ…


「違う…よね」


有名な両親に囲まれて、いつでも“あの二人の娘”って目で見られる。


そんなんでいいの?


私は大谷範久と麻子の娘じゃなくって…

大谷萌南なんじゃないの?


一方のかずくんは、もうすでに自分の道を切り開いていっている。

それに比べて私は何?

何にもやってないじゃない!


そうだ。そうだよ。

いつまでもいつまでも親の名声に頼って生きるなんて、絶対嫌だ。


こうなったらもう…お父さんもお母さんも越えてやる。


憧れだったお父さんよりもっと凄い人になるんだから!


明日からのスパルタ教育だって、受け身でやってるだけじゃいつまでも上達なんかしない。


努力しよう。

人一倍努力して、自分っていうものを確立して、かずくんに見返してもらうんだ!


お父さんもお母さんも今に見てらっしゃい!

絶対に越えるんだから!

私は平凡に生きる気はないわよ!