お母さんの私を見る目が優しくなった。


「萌南、あなたの気持ちは分かるわ。無理になんでも決めちゃって申し訳ないとは思うのよ」


「……」


「でもね、あなた昔にいってたこと覚えてる?」


「?」


首をかしげる私にお母さんは笑いながら言葉を繋いだ。


「萌南ね、将来はパパを支えられるような人になりたいって言ってたのよ」


「あ…」


そう。そうだった。


いつだってお父さんは、テレビの中や雑誌や新聞などで活躍してて、仕事の鬼と言われながらも人望が厚くて…


私の憧れだったんだ。


「パパみたいになる」

それが私の小さい頃からの目標だった。


「思い出した。私、パパみたいになりたいってずっと思ってた」


「萌南、不安かもしれないけど大丈夫。稽古の先生方もプロの人を一式集めてるから」


「うん、分かった」