ハジメテノ。

うそ…だろ…。



俺がそこで見た光景は俺にとって
悲しみだった。



「…えへへ…、ばれちゃいましたね」



そう言ってこいつは自分のことを話した。



「私、昔ここで自殺したんです。大切な人
に会いたくて…。



その大切な人も…ここで、自殺したか
ら…もしかしたらって。逢えるかもって。



…馬鹿ですよね。もう逢えないってわかっ
てるのに。」



「…その大切な人って、お前の…好きな
人なのか?…」



「はい。私の好きな人が…ここで…。」



ああ。俺はなんで今まで気づかなかった
んだろう。



俺はこんなにも、こいつのこと…



「…私、そろそろ行きますね。」



「えっ…行くって…」



そう言ってこいつは空の方に指さした。



「じゃあ、行く前に俺の話、聞いてくれるか?」



こいつは黙って頷いた。



「俺、ある人を見るとそいつから目が逸
らせなくなるんだ。



家に帰ってもそいつ
のこと、忘れられなくて…。



なあ、これって、お前にとって何だと思う?」



「それって、好きってことじゃないですか。」



やっぱり…



「…おれっ…お前の事が…………………






いや。何でもない。じゃあな。生まれ変
わったらそいつと、幸せになれるといいな。」



「…はいっ…!絶対、幸せになります…!」



「…おう。」