その人はユキノと名乗った。

ユキノさんは一昨日引越してきたばかりで、この辺の土地を知るために散歩をしていたところだったらしい。

ユキノさんは黙って私の話を聞いてくれた。

「辛かったね、頑張ったね。」

そう言って私を抱きしめてくれた。

ユキノさんはすごく痩せてて柔らかくなかったけど、なんだか暖かかった。
お母さんみたいな優しさだった。

その優しさが心地よくて、自分はここに居ていいんだと言ってくれている気がした。