夏の前の日


「ねぇ、ユウ」

「次はなに。キスぐらいさせろ」

「ユウが帰って来てからさ。
 リンが元気でいられたらさ。
 そのときは、そのときは。

 ・・・ちゃんと子供が欲しい」


リンを見下している俺は涙が溢れた。
これはきっと、キマっているから。

こんなに涙もろくなんてなかった。

リンの顔に涙が落ちていく。
大雨警報。

それはリンが泣いているようにも見えた。

両手をベッドについている俺は
涙を拭えないから。
リンが俺の顔に手を伸ばして
代わりに拭いてくれた。

「リン、ユウと家族が作りたい。
 ユウとの子供がほしい。
 リンもユウを支えたいよ。
 ・・・予行演習しよっか」


結婚。

国に紙切れ1枚で契約して
結ばれるだけの簡単なものだけれど
俺たちはそんなものじゃない。

けれど、人生の節目と言われるほど
大きなもの。

俺は24歳になる年で。
リンは22歳になる年で。

子供を作っても、もう十分な年齢なのに
俺はそれすら叶えてやることができない。