家を出て、家の付近は危険かもしれないって
勘繰って俺たちは川沿いをひたすら歩いた。


「ヒール履いてこんでよかった」

「じゃね、スニーカーでよかったね」


手をつないで
気分は遠足で

どこを目指すもなく
俺たちはひたすらに歩いた。


夏の日だから汗はかくし
家に戻る勇気はなかった。

俺の携帯も
リンも携帯も

親や警察署、検察庁から
たくさんの連絡がきてたから。


「リン、疲れてない?」

「へーき」

「嘘言え」


リンの足首は靴擦れをして傷ができていた。

ずっと我慢していたのか
靴下は少し血の染みた跡があった。


「財布ん中、絆創膏あるじゃろ?
 貼っちゃるけん」

「ありがとう」


リン、どんくさいけんって
いつも持ち歩いている絆創膏が
やっぱり役立つときがきた。