夏の前の日


「行くなって、最後くらい
 オレといてくれよ」

そう言ってオレはリンをベッドに
押し倒した。

「ユウ?」

なんでこんなに余裕がないんだよ。
なんで東京とか行くんだよ。

「オレ、お前のこと今でも愛しとるよ」

「お前がおるけんオレがおるんじゃん」

「ずっとオレだけのリンでいてくれや…」

募る思いが涙とともに
口から次々に言葉となってでていく。

貪るようにキスをして
そのままセックスをした。

抵抗をせずに、オレの涙を拭いながら
リンはずっと「ありがとう」と言ってた。


「なんで、こーなったんかね。
 リンが我慢しとけばよかったんかね。
 幸せだったのにな〜」


事情後にリンが漏した言葉。

あまりにもできすぎた女だった。
家事もできて、料理も上手で
男を立てれて、仕事もまじめで
ルックスも性格もよくて。

人に弱みなんて見せない、強い女。

けど、それは表面上だけで・・・

ほんとは弱くて脆くて
いつ壊れてもおかしくないのに
オレがトドメをさしてしまった。