夏の前の日


「何も変わんないねー」

部屋をきょろきょろ見渡す。

リンのものがなくなって、
他はなにも変わってない。

面影を消そうと模様替えとか試みたけど
面影が消えるのが寂しくって
やっぱりやめた。

引っ越して、この複雑な間取りに合う様
必死に家具とか配置したっけな。

「うん。珈琲、飲む?」

「いただきますー」

リンの部屋からパクったソファに
腰を下ろしてから
リンにお揃いのマグカップを渡した。

「あ、まだあるの?」

「いつでも帰ってこれるじゃん」

「バーカ」

いつも通りの会話。
いつもと違うのは、リンが最後なだけ。
俺とリンは友達に戻っただけ。


携帯を眺めるリンが、コップを持って
立ち上がった。

「どした?」

「アン、帰ったって。行くね?」

まだ来て、1時間も経ってない。
話したいことはたくさんあった。

言いたいことも、伝えたいことも。

「・・・って」

「ん?ユウ??」