ふわり
魔法使いに、出会ってから
光のドレスを着たみたいに
舞い上がってたキモチが
突然
『いつも』の声に 引き戻される
「こぎゃん時間に、何しよ…
――― お前、学校どうした?!」
「… ヨッチャン」
勢いよく
軽トラから降りて来たTシャツ姿
「船、まだ間に合うから!」
「い…うち、自分で行くけん!」
延ばされた手を
思いきり、振り払ってしまった
「…あ」
ヨッチャンが、びっくりしてる
…でもそれは、自分も同じで…
出した手を
ゆっくり引っ込めたヨッチャン
いつもの空気が、急に変わった
「――― スイ
おまえ昨日…夕方
知らん男と、一緒に居たよな」
「え…」
「… 観光客に
道でも聞かれたのかなって
昨日は黙って見てたけど…
そういや二、三日
あいつらと一緒に、朝いないから
さっき聞いたら、休んでるて
けど、おばさんに声かけたら
"もうスイは、出たよ"言うけん」
「――… お…
お母しゃんに、言うてしもうたとっ?!」


