「はぁ…」
カツン って
立ち止まる 自分の靴音
カモメの声
白い防波堤
波
「… おらん…」
―― どこかで
いつ来てもここで
昨日みたいに、釣りしてて
あの目が 笑いながら
振り返ってくれると思ってた
手に握った 麦わら帽子から
ピュウって 風を切る音がする…
「… 車 」
階段を駆け降り、駐車場へ
買い物に来てる人もそうだけど
この辺の船宿や 民宿に泊まる人は
みんな、ここに停めてる…
――― ないけど
ないけど、もしかしたら
昨日、散歩してる感じだったし
車に乗って 島を回ってるのかもしれない
そうだ ――――
… 駄菓子屋さん
あの辺にも確か、宿あった
看板とか出してなくても
大学生の集団とか、泊めてる家あるし
「 ――― スイ…?」


