Crystal Sky 〜お姫様は、魔法使いに恋をする。〜




薄暗闇の中

なぜかわたしは
首を一生懸命、横にふってる ―――


だけど

引き止めることの出来る理由なんか
ひとつも… なくて…




「夕方はしばらく
ここで、釣りしてる」


魔法使いは
ポン と、わたしの頭に
麦わら帽子をかぶせると
パチンと つばのとこを
中指で弾いて 笑って




防波堤の階段


鼻唄 歌いながら
下にゆっくり降りて行き


やっぱり サンダル
パタパタと鳴らしながら


人で混み合い始めた
港の駐車場を抜けて


そのまま明るい商店街の中へと
あっという間に 消えてしまった ―――