ヒュッ て 竿を投げて かりかりかりって手元の 糸車を回す その度に、くわえているタバコが 上に向いたり、下に向いたりする しゃがんだまま、それをじっと見てたら 「ん?」って、目を大きくしながら 笑いながら言われて… だから慌てて下 向いて 首、 横に振った しばらくは、投げて引いてを 繰り返していたけど 太陽の半分が 海に潜って 潮に赤と群青が 溶け始めた頃には 魔法使いは 手を後ろに、座って ずっとずっと その風景を 見つめたまま ―――― 「帰ろうか」 「――… え… 」