「まあたこんなところで…
こんな遅くまであぶないぞ〜」
「大丈夫ちゃ」
「な〜」
「…最近はこの辺も
島の人間ばかりじゃないんだし」
「え〜 ヨッチャンだって
元は、東京の人やけん」
「俺はいいだろ」
「ヨシくん、配達の帰りなの?」
「ホテルにな!いいから乗んな〜」
『ぶん』って一回
馬がいななくみたいに
タオル巻いたヨッチャンの
白い軽トラが唸る
ヨッチャンは、二年くらい前に
この島にふらりとやって来た人
その前の事は、よく知らない
キャーキャーいいながら
カブの入ったダンボールと
キャベツの葉っぱが落ちてる
後ろの荷台に、三人でなだれ込んだ
両手をひろげ
寝転がると星空
ラジオから、知らない曲 ―――
わたしが あの星の名前を知らないように
あの星も
わたしの名前を知らないんだなあ…


