靄のかかる山を降りると
空は、紫水晶と 黄水晶のまじった色
「あ、"駄菓子屋のおばいしゃん"だ」
「え…!!」
波の音 カコちゃんの声
てくてく歩いて来た 道の先
かっぽう着姿
店先で、青いベンチを拭きながら
わたし達に気付いたおばあちゃんが
ニコニコしながら、手を振ってる
「――― おばいちゃん…っ!」
「おはよぉ!スイちゃん〜
カコちゃん〜しばらく見んかったなぁ
元気にしよったかぁ?」
「はい!おはよ〜ございます!」
「お、おはよ〜!
え…おばいちゃん、戻っち来よると?!」
「今日は日曜日やし
店、開けなかとなぁ」
「お、おじいしゃんは?!
おじいしゃんは一緒?!」
「んん、あん人は街よ
夕方、迎えに来てくれるん」
「… そ…そっ…かぁ!」


