「あ…アヤちゃ、どげんしたと?」
「いあ…
ちょこっと引き戸、開いちる」
「え…」
汗をかいてるアヤちゃんが
ガコガコと扉、動かそうとしてて
わたしも、涙ふいて
すぐに透き間に手を入れた
重い 鉄の引き戸
しばらく来てなかったから、錆び付いてる
「カコ…ちゃんかいな…!
うちら知らんたい…間にっ
来よるんちゃろうかっ!」
「ど、がんね
来んしゃーなら、ゆうよねっ?」
「ばいねっ!!」
この倉庫の事
家族とか幼なじみなら
もちろん知ってるけど
皆、島から出てるし…
夏休みとかお正月に、帰って来るくらいで…
「―――… せ〜〜のっ!!!」
二人で掛け声かけて
思いきり開けたら ―――
一気に光が飛び込んで来て
一瞬、なにも見えなくなった
「――… なん…? これ…」


