「ま…まだ、わからん〜!!」
生け簀、網、しがみつく縁
ふんばる足元には、濡れたロープ
激しいエンジンの音
白い飛沫をたてながら
旗をバタバタ鳴らす船
二つ… 五つ… 十…
すごい速さで数を増やして
フェリーに追ってく、島の漁船
必死に目をこらして
真木さんの姿を捜してるけど
遠くに見える 甲板に
それらしい人は、まだ見えない
「イ〜っ!もう!!沖やし圏外!
もうもう!おいしゃん!
バリ近くに来るん無理やか?!」
「船とめるんは、無理だぞ!」
「無線で連絡は?!」
「緊急ん時だけじゃ!」
「今が緊急やろうもん!!
おいしゃん!のんばれ!!
ここの海男ん、見しぇ所だ!!」
「うぬぅ…!!わかった〜〜〜!!!」
エンジンの音も
風の音も、どんどん大きくなって
だけど
どんどん船、遠くなる …――


