駅前通り
赤い 夕暮れの広場
デパ地下の袋をさげたおばさん
メガネを外して暑そうに
汗を拭いてるスーツのおじさん
ケータイいじってる、ブレザー姿の男の子
バラのアイスをにぎって
指さして走って来る、小さな女の子
道行く人が
少しづつ周りに 集まって来る
「ちょ…歌!!やめ…!!」
「ぅあ 恥ずかしかぁ!!」
「な…こんなとこで
なん考えてんと?!」
場所は別に、おかしくない
土曜日の夜とか
ここで歌ってる人、結構いるし
今も、少し離れたとこで
ギターのチューニング、始めてる人もいる
「も…!命令聞けって!!」
強引に、引っ張られた手
思わず 振り払って ――――
とっさに言葉、口から出てた
「…熊石しゃんも、一緒に歌えばよか!
―――― 合唱部やろ?」
「〜〜〜〜…っ!!」
三つの真っ赤な顔
"馬鹿じゃなかん?!"
"やっぱりアイツ、おかしか!"
捨て台詞を残して
ここから去ってく
―――… わたし
本当は
叫び出しそうに
なってたんだと思う ―――


