"どうして?"
… おじいさんはホントに
そう思ってたみたいで
わたしの顔、不思議そうに見てる
お店の中
カワイイなぁって…
… それと
お客さん いなかったから
あまり喋らなくていいかもって
ちょっと思ったりした
でも 一番のキッカケは…
「――― アヒルちゃんが…」
「…アヒル?」
うなずいた
おじいさんは
『ああ』って笑いながら 立ち上がると
一度、表に歩いて行き
浮輪を外して戻って来て
それから…
机の上で 空気を抜くと
丁寧に、折りたたんでから
紙ぶくろの中に そっと入れた
「夏休みになったら
一緒に海へ
連れていってやって下さい」
「――… えっ?」
「今時の娘さんには少々
デザインが古いかもしれませんが
昔からの ―――
小さな工場で作られた物なので
頑丈だし、長持ちしますよ」
その表情は
どこかで見たような
優しくて
少し、寂しそうな笑顔
紙袋の中には
ドーナツがいっぱい ――…


