義男は薄れゆく意識の中、最期の気力を振り絞り目を開く。

最期に家族の顔が見たかった。

もう声は出ないけど、感謝の気持ちを伝えたかった。

人生に悔いなし。

色々あったけど、嫌な現実からは目をそらし、それなりに楽しくやってきた。

悔いはない。

悔いは…ない…。

悔いはない?

義男の目の前には、家族の姿…ではなく青々と茂った木々が広がった。

目線の高さから、3メートルくらいだと理解する。

首に締まるような違和感がある。

意識が遠のいていく…

手足に力が入らなくなり、全身の力が抜けていく…