どこからともなく声が聞こえてきた。

死んだ時の声だ。

【お疲れ様でした。良い見直しは出来ましたか?】

(あー、どうかな。あんまり変化は無かったよ。)

【そうですか。それなら良かった。】

(良かった?)

【これから最期の仕上げが待っています。】

(最期の仕上げ?まだ何かあるの?)

【いえ、人間の世界では、終わり良ければ全て良しと言う諺があるのでしょう。やはり最期の時間をもう一度、経験してからこちらの世界に来てもらいます。】

(それは願っても無い。家族に囲まれて死んでいける事は何よりも幸せだったから。)

【そうですか。それでは最期の時間です。】