意識が朦朧とする中、僕は天井を見つめる。

『死』が近づいている事がわかる。

隣で妻の加奈子が手を握る。

こんな僕と半世紀も人生を共にしてくれた事に感謝の気持ちでいっぱいだった。

もっと想いを伝える機会はあったのに…

ありがとう。

もう届かない声で一生懸命伝えた。