痛みというより最初は寒さ。
肩の根元から引きちぎられたので
血が吹き出し
辺り一面血の海になっていた。
それを見た瞬間
初めてこの世のものとは思えない痛みに襲われ、頭の中が真っ白になった。
殺される。
私は痛みをこらえながら走った。
本当は、その場に倒れて起き上がれないくらいの痛さだったけど、恐怖の方が勝ったのか足が動いてくれた。
トンネルの入り口まで行くと
急にクラクラとめまいに襲われた。
ちょっとした軽い気持ちでの作り話が
こんな事になるなんて。
痛みに我慢できず
薄暗い湿った感じのする広いトンネルの真ん中に倒れこんだ時
遠くから
ふたつの眩しい灯りが見えた。
線路の枕木越しに
列車の音が耳に響く。



