瑠璃姫は、
高いびきをかく
殿の隣で、
自問自答をしていた。

妾は、醜女(しこめ)なのか?

「瑠璃姫ほど、お美しい方はござらぬ!」

「お館様によう似て、
美しゅうござります♪」
皆はそう言う。

父上は、確かに娘の私が言うのもなんだが、
美男だと思う。

そんな父上に似ていると言われて、
己が美姫だと思い込んでいた!

「瑠璃姫様の婿殿は、
果報者よ〜。」

全部嘘だった……って事?

やはり妾は、醜女に相違ない!

殿は、我が顔(かんばせ)を見て、
顔を背けてしまう。

いつのまにやら、
眠ってしもた。


朝には、床に私が一人で寝ていた。

殿は、涼しい顔で、
側室の間で寝起きしておった!

かえでは、
この事を知らぬゆえ、
誰にも相談出来ぬ。

おなごの戦さに負けた。


妾が嫁す前から、
殿には側室がいた……。


ナニコレ!?
瑠璃姫は、
本妻という名ばかりの身分!?

酷い!!

瑠璃姫は、
御守り袋を
取り出して、
ぎゅっと握りしめると、
声を押し殺して、
泣き崩れた。